#author("2024-03-17T11:48:38+09:00","","")
#author("2024-03-17T14:04:46+09:00","","")
*&ruby(かんぜんじょういごかん){完全上位互換}; [#uc6d12d4]

あるカードが、下位となるカードに対して[[スペック]]が完全に上回っていること。
この逆が[[完全下位互換]]である。

完全上位互換の決め手となるのは『単体での性能がより優れている([[上位互換]])だけでなく、''他のカードと組み合わせた場合も上位の働きをする''』かどうかである。
具体的には、[[上位互換]]でありつつ[[種族]]が同じ、あるいは単体性能は[[相互互換]]だが同じ[[種族]]に加えて他の[[種族]]・[[ソウル]]・[[名称カテゴリ]]を持つ、など。((かつては『[[能力]]、[[コスト]]、[[パワー]]などから見て[[上位互換]]であることに加え、[[種族]]まで同じ(あるいは、より[[汎用性]]の高い[[種族]]に置き換わっている)』ことが完全上位互換の判断基準だったが、[[ソウル]]や[[名称カテゴリ]]などを参照するカードが登場してきたことにより、[[種族]]だけを判断基準とする線は弱くなった。))
属する[[種族]]・[[ソウル]]・[[名称カテゴリ]]が多ければ、その分だけ多くのサポートを受けることができるため、そちらの方がより優れているといえる。

他の[[カード]]よりも明確に強力な[[カード]]として生まれてくるために、[[スペック]]が高いものが多い。
逆にいえば、[[完全下位互換]]となった[[カード]]には使い道がほとんど無くなってしまうため、完全上位互換の登場を快く思わない[[プレイヤー]]も存在する。

TCGでは[[カードパワー]]は徐々に[[インフレ]]していく傾向があるため、新しい[[エキスパンション]]で古いエキスパンションのカードの完全上位互換が出ることは仕方のないことだろう。

**完全上位互換の定義 [#d32252e2]

完全上位互換という言葉の意味は、字面通りには「『完全』な[[上位互換]]であること」すなわち「あらゆる面で優れている」という意味になる。
これは先述の「他のカードと組み合わせた場合も上位の働きをする」と同義であり、より具体的には「他の自分のカードと組み合わせた場合」「相手によるメタがあった場合」にも上位の働きをするという意味である。

しかし、「完全上位互換」という言葉がこのままの意味で使われる事は稀である。
なぜならば、「別のカードとの兼ね合い、およびそれによる[[差別化]]を''細かいところまで追求するとキリがない''」から、および「新しい[[カード]]の登場によって''どんなカードでも差別化点が新たに生じうる''」からである。

:例1|
より多くのメリット[[能力]]を持つ[[上位互換]][[呪文]]を投入した場合、[[下位互換]]を入れている場合よりも[[《陽炎の守護者ブルー・メルキス》]]などの[[呪文横取り]]を使われた際の被害が大きくなりうる。

:例2|
[[《アクア・ティーチャー》]]、[[《駱駝の御輿》]]などの[[バニラ]][[クリーチャー]]をサポートするカードが登場したため、それらは必ずしも、同コスト・同パワーで能力を持つクリーチャーの完全下位とは言えなくなった。[[《アクア・ビークル》]]に対する[[《アクア・エボリューター》]]などが例である。
[[バニラ]][[デッキ]]では通常下位互換とされるバニラを採用した方が、中途半端な能力を持つ上位互換よりも遥かに活躍の機会が多い。
::例2-2|
[[《神銃の精霊ナカツマキ》]]はスペック上は[[《光輪の精霊シャウナ》]]や[[《流星の精霊ミーア》]]の[[上位互換]]であり種族も勝るが、この[[クリーチャー]]が登場した時期は[[《ヘブンズ・ゲート》]]対策で[[ブロッカー除去]]が隆盛していたため、「[[ブロッカー]]を持つ事が[[デメリット]]」という見方が強かった。
また、何かの完全上位互換だとしても「''そうした存在自体が採用に値しないのであれば採用されない''」という部分も忘れてはならない。例2では中途半端な能力を持つクリーチャーよりバニラのほうが優れる例が紹介されているが、大半のデッキではその底辺争いのカードはどちらも採用されない。《ナカツマキ》の境遇も同じである。
::例2-3|
TCG版の[[《魔刻の騎士オルゲイト》]]の性能に、そのまま[[ブロッカー]]をくっつけただけのデュエプレ版[[《魔刻の騎士オルゲイト》]]は「[[《火炎流星弾》]]で簡単に破壊できるようになったから、完全上位互換になったのと[[ナーフ]]が共存している」というネタがあった。実際、当時は[[ブロッカー破壊]]を採用するデッキは少なくなかったので苦労して出してもあっさり破壊されてしまって連続攻撃できずに終わることはたびたびあった。

:例3|
[[《エナジー・Re:ライト》]]は一般的には[[《エナジー・ライト》]]の完全上位互換と呼ぶことができるが、[[《原罪の悪魔龍 グルデムボウ》]]など[[カード名を選ぶ]]効果で別のカード名として扱われる。
[[ツインパクト]]の登場によって、《グルデムボウ》で「[[《エナジー・ライト》]]」と宣言すれば[[《叡智の聖騎士 スクアーロ/エナジー・ライト》]]込みで山札の上から5枚の手札補充をすることが可能であり、その動きは[[《エナジー・Re:ライト》]]では実現できない。

:例4|
[[《緑神龍ガラギャガス》]]と[[《緑神龍グレガリゴン》]]は、その2つだけで比較したら[[相互互換]]になるが、[[《スーパーしりとりガー》]]が登場したことによって、《ガラギャガス》が誤差レベルで「完全上位互換」と呼べる優位性が生まれた。
では《グレガリゴン》はあらゆる場面で《ガラギャガス》より劣っているかとなるとそうではなく、自分の墓地に[[《黒神龍グールジェネレイド》]]がある状況下なら、相手に《しりとりガー》の「ん」メタを発動されたら《グールジェネレイド》を出すことができるという誤差レベルで《ガラギャガス》にはないメリットが生ずる可能性がある。
その先も考えようとすれば考えられるだろうが、いずれにせよキリがない。

//[[《エナジー・Re:ライト》]]は登場時点では[[《エナジー・ライト》]]の完全上位互換と呼ぶことができるが、もし今後『「[[G・ストライク]]」を持つカード』、あるいは『名前に英字または《:》を含むカード』などの条件で不利益を生み出すカードが登場したら、その時点で厳密な意味での完全上位互換ではなくなってしまう。
//分かりやすい解説ですが、たらればの話であり、「未来永劫の完全上位互換はない」という説明は後述されているので一旦非表示にします。

//特殊な条件下で差別化の範疇
//:例5|
//[[《スーパー・スパーク》]]は[[《ホーリー・スパーク》]]の完全上位互換というデザインで登場したが、後に登場した要素である[[ガチンコ・ジャッジ]]によって、[[S・トリガー]]で唱える前提で採用するなら、コストの高い[[《ホーリー・スパーク》]]のほうに軍配が上がるという逆転現象が起こっている。のちに[[《ホーリー・スパーク》]]を直接サポートする[[《神聖の精霊アルカ・キッド》]]が登場したことによって差別化点はより明白になったが、その前から意図的に[[《ホーリー・スパーク》]]を採用する理由が存在していたということである。


:その他の例(特殊な条件下で差別化)|

//以下の一覧を編集したい場合は「特殊な条件下で差別化」を編集してください
#region2(折返し){{
#include(特殊な条件下で差別化,notitle)
}}

以上のことから、''未来永劫、本当の意味で完全上位互換である・あり続けるカードは存在しない''と思ってもらって差し支えない。

このため、完全上位互換という言葉をそのままの意味で使うことができるケースは極めて少なく、仮に使われる場合は、
+「''他の『自分の』カードと組み合わせた場合も上位の働きをする''」(「相手によるメタがあった場合」の差異を考慮しない)
+「''[[上位互換]]の優位性を覆さない範囲で上位の働きをする''」(より高い[[コスト]]・より低い[[パワー]]のカードをサポートするなど、下位互換の方がサポートを受けられるような能力の存在を考慮しない。あるいは、単純に[[種族]]などの数だけで優っている)

のいずれかの意味を暗黙的に含んでいることが多い。
それでも[[デッキビルディング]]の際には、こう評されることのあるカードを覚えておいて損はない。

**完全上位互換とされやすいカードの例 [#kb6ff169]
//五十音順
***全体的に[[スペック]]が勝っており、劣る部分も限定される例 [#z41d48ae]
-[[《アクア・エージェント》]]→[[《アクア・レンジャー》]]
-[[《オーラ・ブラスター》]]→[[《パワー・チャージャー》]][[《ルナティック・エナジー》]]
-[[《ガウレザル・ドラゴン》]]→[[《ネオ・ボルシャック・ドラゴン》]][[《ボルシャック・クロス・NEX》]]
-[[《屑男》]]→[[《封魔妖スーパー・クズトレイン》]]
-[[《再誕の森》]]→[[《偉大なる恵み》]][[《再誕の社》]]
-[[《地獄スクラッパー》]][[《オメガ・スイーパー》]]→[[《スーパー炎獄スクラッパー》]]
-[[《ボルシャック・ドラゴン》]]→[[《ボルシャック・大和・ドラゴン》]]
-[[《ダイヤモンド・カッター》]]→[[《ダイヤモンド・ソード》]]

***単体[[スペック]]および相手の使うカードの影響で劣る部分が確認されていない例 [#q6fc25c0]
-[[《幻竜砲》]]→[[《獅子幻獣砲》]]
-[[《メイプル超もみ人》]]→[[《モモダチ モンキッド》]]
-[[《エナジー・ライト》]]→[[《エナジー・Re:ライト》]]
-[[《ブレイン・チャージャー》]]→[[《ブレイン・Re:チャージャー》]]

//一部削除。例は絞りましょう。

**その他 [#d177fbdd]

-3つも後のエキスパンションで出たにもかかわらず、なぜか[[《スクリューヘッド・リザード》]]のまさしく完全下位互換である[[《メテオレイジ・リザード》]]のような例も存在する。

-[[不死鳥編]]が人気が低い理由の1つとして、完全上位互換であるような強力な[[カード]]が少ない事が挙げられる。それ故か、次の[[極神編]]は[[《ダイヤモンド・ソード》]]や[[《ボルシャック・大和・ドラゴン》]]など、完全上位互換とされるカードの宝庫となった。

-[[《バザガベルグ・疾風・ドラゴン》]]は[[クロスギア]]を使わない[[デッキ]]ならほぼ[[相互互換]]なので、[[《バザガジール・ドラゴン》]]が完全に退いたわけではない。このように特定のデッキでしか何らかの優位性を発揮しない上位互換ならば、下位のカードにも十分居場所はある。

**参考 [#xc2667c5]
-[[用語集]]
-[[類似カード]]
-[[上位互換]]
-[[下位互換]]
-[[完全下位互換]]
-[[相互互換]]
-[[同型再販]]
-[[特殊な条件下で差別化]]